修繕費も人件費も上昇中 ― これからの“長持ちする賃貸経営”とは
不動産・相続について勉強中の、ワンダーランドMAIMAIです。
「ちょっと外壁の塗り替えを」と見積もりを取ったら、思っていたよりずっと高い――。
そんな声をオーナー様から聞く機会が増えました。
ここ数年、建築資材や人件費の上昇が止まりません。
さらに職人不足によって工期が延び、同じ工事でも費用も時間もかかる時代になっています。
こうした状況のなかで、これからの賃貸経営に求められるのは「安く直すこと」ではなく、
“長く持たせる”という発想への転換です。
1. 修繕費の高騰、その背景にある“3つの現実”
① 建築資材の価格上昇が止まらない
外壁塗装に使う塗料、防水材、鉄骨塗装の錆止め、配管の樹脂製パーツ――
どれも数年前に比べて2〜3割は値上がりしています。
円安や物流費の上昇に加えて、世界的な原材料価格の変動が直撃。
特に2024年以降、塗料メーカー各社が相次いで値上げを発表し、塗装工事の見積もりは一気に上昇しました。
例えば、10年前に外壁塗装を150万円で済ませていた物件が、今では200万円を超える見積もりになることも珍しくありません。
② 職人不足による工期の長期化
次に深刻なのが、人手不足です。
建設業の就業者はこの10年で約20%減少し、特に40代以下の若手職人が少なくなっています。
そのため、「すぐに着工できない」「工期が伸びる」「人件費が上がる」という悪循環が起きています。
現場の人件費はこの5年で1.5倍近くになっているとも言われ、オーナーが感じる“工事費の重み”は、まさにこの人手不足の影響なのです。
③ 修繕の頻度が増えている
さらに、ここ数年の豪雨・猛暑・寒暖差によって、建物の劣化スピードが早まっています。
防水層の剥離や外壁のクラック、屋上防水の膨れなど、従来の周期(10〜12年)より早く不具合が出るケースも多くなりました。
つまり、修繕周期が短くなっているのに、費用は高くなっている――。
このダブルパンチが、オーナーにとって大きな悩みとなっています。
2. 安易なリフォームが「お金を減らす」
「古くなってきたから、とりあえずリフォームを」
「見た目を新しくすれば入居者が決まるはず」
そう考えて、毎年どこかを改修しているオーナー様も少なくありません。
しかし、実際には“直すほど赤字になる”ケースもあるのです。
たとえば、安価な内装材を使ったリフォームを何度も繰り返すと、
●すぐに劣化して再施工が必要になる
●クロスの張り替えや床材交換のたびに現状回復費が増える
●入居募集のタイミングがずれて空室期間が長くなる
という悪循環に陥ります。
リフォームは「費用対効果」が命です。
単に“新しい”ではなく、“長く持つ”設備や素材を選ぶことが、結果的に安く済むという考え方が大切です。
3. “長持ちする賃貸経営”の考え方
◎「壊れにくい設計」に投資する
修繕を“支出”ではなく“投資”と考えましょう。
安い設備を何度も取り替えるよりも、初期費用が高くても壊れにくく、メンテナンスが少なくて済む素材を選ぶほうが、長期的に見れば得です。
例えば――
屋上防水:安価なウレタン防水より、10年以上耐久するFRP防水やシート防水を選ぶ
外壁塗装:一般塗料ではなく、耐候性の高いフッ素・無機塗料を採用する
給湯器やエアコン:低価格帯ではなく、耐用年数・保証の長いメーカーを選ぶ
これらは一見コストが高く見えますが、1回の修繕で済む回数を減らせるため、結果的にトータルコストを抑えられます。
◎「計画修繕」を意識する
突発的に壊れてから直すより、あらかじめ計画を立てて修繕する方がはるかに効率的です。
突然の漏水や配管トラブルは、緊急対応のため割高になりがち。
反対に、長期修繕計画を立てておけば、
・工事時期を分散できる
・相見積もりを取りやすく、価格交渉ができる
・費用を積み立てておける
というメリットがあります。
分譲マンションでは「長期修繕計画書」が義務化されていますが、賃貸アパート・マンションでも同じ考え方が必要です。
「何年後に、どこを、いくらで直すか」を見える化するだけで、無駄な出費を抑えられます。
◎「信頼できる施工業者」を持つ
見積もりを取るとき、金額だけで比較していませんか?
実は、工事後のトラブルの多くは「安さ優先の発注」が原因です。
外壁塗装では塗布回数を減らす、配管では既存の劣化を無視して応急処置だけ行う――
そうした“見た目だけ直す修繕”は、数年後に再工事を招きます。
信頼できる施工業者は、「今必要な工事」と「まだ先で良い工事」を分けて説明してくれるものです。
定期的に現場を確認し、劣化の進行を見ながら計画的に対応していく。
その積み重ねが、“長く持つ建物”につながります。
4. 修繕コストを“下げる”ではなく、“分散させる”
修繕費は、完全に削減することはできません。
しかし、一度に大きな出費をしない工夫は可能です。
例えば、
・共用部のLED化など、小さな省エネ対策から始める
・空室時にまとめて設備更新をして、工事効率を上げる
・保険・補助金制度を調べて活用する
国や自治体では、省エネ改修や耐震補強に対して補助金が出る場合もあります。
少し手間でも、情報を集めて活用すれば、結果的に修繕費を抑えることができます。
5. 「長期的に見て得かどうか」で判断する
短期的な家賃収入だけでなく、10年後、20年後の修繕や入れ替えコストまでを考える。
これが“長持ちする賃貸経営”の基本です。
たとえば、家賃5,000円上げるために50万円のリフォームをしても、空室期間が長引けばすぐに赤字。
一方で、耐久性を高める修繕は、すぐに家賃を上げる効果はなくても、長期的には資産価値を維持し、空室リスクを減らす投資になります。
不動産経営は「今」ではなく「10年後に後悔しない選択」が大切です。
6. まとめ
建築資材・人件費の上昇、職人不足――。
これからの時代、賃貸オーナーが考えるべきは“安く直す”ではなく、“長く持たせる”ことです。
壊れにくい素材を選び、計画的に修繕し、信頼できる業者と長く付き合う。
その積み重ねが、安定した経営と資産価値の維持につながります。
「費用をかけない工夫」ではなく、「無駄を減らし、長く使う工夫」こそが、これからの賃貸経営の基本。
時代が変わっても、手をかけた建物は必ず応えてくれます。
不動産経営に関するご相談がある方や、不動産相続でお困りの方、賃貸物件をお探しの方も、お気軽にワンダーランドにご相談ください。
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