長期入居者が増えると、賃貸経営にどんな影響がある?
不動産・相続について勉強中の、ワンダーランドMAIMAIです。
「もう10年以上も住んでくださっている入居者さんなんです」
長期入居者の存在は、賃貸経営において非常にありがたいものです。
入退去が頻繁に起きる物件では、原状回復費用や広告料、クリーニング代などで年間数十万円が飛んでいくこともありますが、長期入居ならそれらのコストを抑えられ、毎月の収入が安定するという点で経営を支えてくれます。
しかし一方で、長く住んでもらうことによって表面化しづらい問題が蓄積していくこともまた、現場ではよくある話です。
本記事では、長期入居者がもたらすメリットと見えにくいリスク、そしてそれらにどう向き合うべきかを詳しくご紹介します。
1. 長期入居はなぜありがたい?
改めて、長期入居者の主なメリットを見ていきましょう。
◎空室リスクの低減
→ 平均して1回の空室で2~3ヶ月分の収入が飛ぶ中、空室期間ゼロは大きな強み。
◎原状回復・リフォーム費用がかからない
→ 退去のたびに発生する壁紙・床材・クリーニング等の費用が長期で抑えられる。
◎入居者が地域や物件に慣れ、トラブルが少ない
→ ゴミ出しルールなども理解しているため、苦情や近隣トラブルのリスクが下がる。
◎更新料などでプラスの収入がある(地域により)
このように、“賃貸経営を安定させる支え”になるのは間違いありません。
特に築年数が経ってからの長期入居は、募集せずに収入を得られる「ありがたい状態」と言えるでしょう。
2. でも実は、“静かに進行するリスク”もある
感謝と安心の裏側で、オーナーが見落としがちな“静かなリスク”も積み重なっていきます。
■ 老朽設備のまま何年も…事故のリスクも
たとえば10年、15年前の設備がそのまま使われていることもよくあります。
古いエアコンや給湯器はいつ故障してもおかしくなく、製造中止で部品が手に入らない場合は、入居中に急な交換が必要になることも。
場合によっては、給湯器の不具合が原因で火災やガス事故につながるリスクもゼロではありません。
しかも長期入居者は「昔からこんなもん」と慣れてしまい、故障や不具合を報告しないまま使い続けていることもあるため、オーナー側が気づきにくいのです。
■ 家賃が相場より大きく下回っていることも
同じ部屋に10年以上住んでいると、周辺相場とのギャップが大きくなるケースも増えます。
たとえば入居当時は月額6万円で妥当だった部屋も、今は駅近・広さ重視で7万円台が当たり前になっていることも。
ところが、契約を更新し続けているだけでは家賃の見直しはされにくいため、知らないうちに「市場より安く貸している状態」になっていることも少なくありません。
■ 原状回復費用が重くなる“積もった使用感”
長期入居後の退去時には、壁や床に目立った汚れや劣化が蓄積されており、「通常損耗」としてオーナー負担になる範囲が増える傾向があります。
長期間の使用により、賃借人負担とならないケースも多く、結果として費用は高くなるのに回収しづらいという悩ましさがあります。
3. 高齢者の長期入居は、別の備えも必要に
昨今では、10年、20年住み続けているうちに入居者が高齢化し、突然の孤独死や長期入院による“空室化”が発生するケースも珍しくありません。
実際に「数ヶ月家賃が振り込まれず、訪問してみたら…」という経験をされたオーナーもいらっしゃるのではないでしょうか。
賃貸契約時には若かった入居者が、知らぬ間に70代・80代になっているという状況も、長期入居では起こり得ます。
こうした場合、家族構成の変化や、緊急連絡先の更新が行われていないことも多く、いざというときの対応が後手に回ってしまうこともあります。
4. オーナーとして意識しておきたい対策
大阪のように「更新料なし・自動更新」が多いエリアでは、契約の見直しや賃料の改定を行う“きっかけ”が作りにくいのが実情です。
そのため、何年も同じ条件のまま入居が続き、家賃が相場より低くなったり、設備が古くなったまま使われていたりするケースが多く見られます。
だからこそ、あえて次のような“きっかけづくり”が重要になります。
◎ 設備更新の意思表示を、オーナー側から事前提案型で行う
「エアコンが設置から10年以上経っているので、故障前に交換をご提案させていただく予定です」といった形で、入居者の不安を取り除く視点から伝えると、前向きに受け取られやすくなります。
◎ 賃料見直しは、相場情報を共有しながら“お願いベース”で
突然の値上げ提案は反発されやすいため、「周辺で同じような条件の物件が〇万円前後になってきており、今後、建物維持のためにも…」という形で、丁寧に背景を共有したうえでのお願い提案が必要です。
実際に応じてもらえるかどうかは別として、「見直しの余地がある」という認識を共有するだけでも、今後の対応に影響します。
◎ “点検を兼ねた訪問”を定期的に提案する
設備の劣化や室内の使用状況は、実際に見ないと分からないもの。
更新がない契約形態だからこそ、「給湯器の点検」「設備の維持状況確認」などを名目に訪問機会を設けることが、関係性を保ちながら情報を得る有効な方法です。
5. まとめ
長期入居は、「トラブルがない=問題もない」と錯覚しがちですが、見えないところで進んでいる老朽化や契約条件のズレにこそ注意が必要です。
定期的に設備・契約・緊急対応体制を見直すことで、長期入居の安心を“経営の安心”に転換することができます。
“ありがたい存在”だからこそ、手をかけて維持していくことが、これからの賃貸経営に求められる姿勢なのではないでしょうか。
不動産経営に関するご相談がある方や、不動産相続でお困りの方、賃貸物件をお探しの方も、お気軽にワンダーランドにご相談ください。
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