入居者が亡くなったとき、オーナーはどう動けばいいのか。賃貸管理の現場で起きていること
不動産・相続について勉強中の、ワンダーランドMAIMAIです。
賃貸物件を所有していると、いつかは直面するかもしれないのが、入居者の死亡という出来事です。
高齢化が進む中で、単身の高齢者が賃貸住宅に住むケースは増えています。
長く住んでいた入居者が突然亡くなった、あるいは発見が遅れた、というお話を耳にすることも、決して珍しくなくなってきました。
そのとき、オーナーや管理会社はどう動けばいいのか。
部屋に残された荷物はどうなるのか。家賃はどうなるのか。
あまり話題にしにくいテーマですが、知っておくことで、いざというときに慌てずに対応できると思います。
今回はこのことについて、整理してみたいと思います。
1. 入居者が亡くなっても、賃貸借契約はすぐには終わらない
「入居者が亡くなったのだから、契約も終わりでは?」と思われる方もいるかもしれません。しかし法律上はそうではありません。
入居者が亡くなった場合、賃貸借契約は消滅せず、その相続人に引き継がれます。
つまり、相続人が新しい賃借人の立場になります。
相続人は、契約を継続するか解約するかを選択できます。
多くの場合、相続人自身はその部屋を使う予定がないため、解約の手続きを進めることになりますが、それにはオーナー側と相続人との間で正式に解約合意をする必要があります。
つまり、オーナーが一方的に「亡くなったから契約終了」として部屋の鍵を変えたり、荷物に手をつけたりすることは、法律上許されていません。
まずは「この部屋の賃借人の権利は、今どこにあるのか」を確認することが、最初の一歩になります。
2. 残置物は「勝手に捨てる」と大きなリスクになる
入居者が亡くなった後、部屋には家具や家電、衣類などの荷物が残ることがあります。
これを残置物といいます。
残置物の所有権は、入居者が亡くなった時点で相続人に移ります。
つまり、オーナーや管理会社が相続人の許可なく残置物を処分することは、法律上の問題につながります。
「早く次の人に貸したい」「このままでは部屋が使えない」という気持ちはよく理解できます。
しかし、勝手に処分してしまうと、後から相続人との間でトラブルになる可能性があります。
損害賠償を求められるケースもゼロではありません。
正しい順序としては、まず相続人を探し、連絡を取り、残置物の取り扱いについて合意を得てから動くことになります。
「相続人が遠方にいて連絡がつきにくい」「荷物が多くて対応が長引いている」という状況は実際にあります。
その間、部屋は空室として抱えることになります。
これが、オーナーにとって想像以上の負担になることがあります。
3. 相続人がいない、または全員が放棄したケース
さらに難しくなるのが、相続人がいない場合や、全員が相続放棄をしたケースです。
身寄りのない高齢者の場合、そもそも相続人が存在しないことがあります。
また、借金など負の財産が多い場合、相続人全員が相続放棄を選ぶケースもあります。
このような場合、賃貸借契約の解除も残置物の処理も、「相続財産清算人」という制度を使って進めることになります。
これは家庭裁判所に申し立てをして、財産を管理・処分する人を選任してもらう手続きです。
ただし、この申し立てには費用がかかります。
場合によっては数十万円規模になることもあり、解決までに1年以上かかるケースもあります。
「まさかそんなことに…」と驚かれるかもしれませんが、高齢化が進む社会では、こうしたケースは今後も増えていく可能性があります。
4. 家賃はどうなるのか
入居者が亡くなった後の家賃については、相続人が賃貸借契約を引き継いでいる期間中は、原則として相続人に請求することになります。
ただし、相続人が遠方にいたり、連絡が取れなかったりする間にも日は過ぎていきます。実際に家賃を受け取れるかどうかは、状況によってかなり差があります。
また、相続人全員が相続放棄をした場合、滞納家賃の請求先がなくなることもあります。
連帯保証人がいれば請求できますが、保証人がいないケースでは回収が難しくなります。
こうしたリスクを考えると、家賃保証サービスや孤独死保険といった備えの重要性が改めて感じられます。
加入していれば、空室期間の家賃補償や原状回復費用の補償を受けられる場合があります。
保険や保証サービスの内容はそれぞれ異なりますので、現在の契約内容を一度確認してみることも一つの方法かと思います。
5. 事前にできる備えはあるか
「起きてから動く」のではなく、「起きる前に備えておく」ことで、いざというときの対応がずいぶん変わります。
国土交通省と法務省は、単身入居者の死亡に備えた「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を公表しています。
これは、入居時に入居者本人と「死後の残置物の処理を誰かに委任する契約」を結んでおくことで、亡くなった後の対応をスムーズにするための仕組みです。
また、入居審査の段階で、緊急連絡先や推定相続人の情報をできる限り把握しておくことも、後の対応に大きく影響します。
単身の高齢者の入居をどう受け入れるか、という問題は、オーナーにとってデリケートなテーマです。
リスクを避けるために入居を断るのか、備えを整えた上で受け入れるのか。
正解はないかもしれませんが、社会的な背景を踏まえて考えてみる価値はあると感じます。
6. まとめ
入居者の死亡は、誰もが避けたいと思うテーマです。
しかし、高齢化が進む中で、賃貸経営を続けていく限り、いつかは向き合うことになるかもしれない問題でもあります。
「契約はどうなるのか」「残置物はどう扱うのか」「相続人が見つからない場合は?」こうした基本的な流れを知っておくだけで、いざというときの対応が変わってきます。
慌てて動いてしまうと、後からトラブルになることもあります。
また、事前の備え——緊急連絡先の確認、家賃保証や保険の見直し、契約書の内容の整理——は、今からでも取り組めることです。
難しいテーマだからこそ、少しずつ知識を積み重ねておくことが、長く安定した賃貸経営につながるのではないかと思います。
不動産経営に関するご相談がある方や、不動産相続でお困りの方、賃貸物件・駐車場をお探しの方も、お気軽にワンダーランドにご相談ください。
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