【後編】設備が壊れたらオーナーはどう動くか~交換費用高騰の今、知っておくべきこと~
不動産・相続について勉強中の、ワンダーランドMAIMAIです。
前編では、設備故障時の費用負担の原則と初動対応を整理しました。
今回は、2026年現在の設備交換をめぐる状況——費用の高騰とその背景、そしてオーナーとしての備えについてお伝えします。
【前編】はこちら→https://0120720901.com/contents/2062
1. 設備交換の費用が上がっている
近年、給湯器・エアコン・配管などの設備交換費用が上昇しています。
リンナイ・ノーリツといった大手給湯器メーカーは、2022年以降に複数回の価格改定を実施しており、4年間で4回の値上げを行ったメーカーもあります。
エアコンについても、パナソニックが2026年4月より価格改定を発表するなど、コストアップが続いています。
これは単なる物価高だけではなく、複数の要因が重なった構造的な問題です。
2. ナフサ問題とは
2026年春から、「ナフサ」と呼ばれる石油化学原料の供給不安が深刻化しています。
ナフサはプラスチック・樹脂製品の原料となる石油化学製品で、中東からの輸入に大きく依存しています。
中東情勢の緊迫化によりホルムズ海峡の通航が制限され、日本へのナフサ供給が不安定になりました。
「給湯器は金属の塊では?」と思う方も多いかもしれませんが、現代の給湯器・エアコンには、外装カバー・配管継手・コントローラーのケースなど、多数の樹脂部品が使われています。
ナフサ由来の原料が高騰すれば、これらの部品コストが上昇し、最終的に製品・工事の価格に転嫁されます。
さらに、配管材(塩化ビニル管・ポリエチレン管)もナフサ由来であるため、工事費用にも影響が出ています。
2026年4月時点でナフサのスポット価格は国産基準価格の約2倍水準で推移しており、三菱ケミカル・三井化学など大手化学メーカーが相次いで減産を発表しています。
設備価格への影響は、今後も続く可能性があります。
3. 物価高・職人不足が重なる構造的なコスト上昇
ナフサ問題だけでなく、建設・設備業界全体に構造的なコスト上昇の圧力がかかっています。
職人・技術者の高齢化と若手不足による人件費の上昇、建築資材全般の価格高騰、物流コストの上昇——これらが重なり、設備の修理・交換にかかる費用は、数年前と比べて明らかに高くなっています。
ある調査によると、木造戸建てのフルリフォーム費用は2009年の約790万円から2025年には約1,220万円と、約1.5倍以上に上昇しています。
設備交換単体でも、同じ傾向が見られます。
「昔と同じ感覚で費用を見積もっていた」という場合は、現在の相場を改めて確認しておくことが必要です。
4. 費用が上がる今、オーナーはどう備えるか
設備交換費用が上昇している今、オーナーとしてできる備えがあります。
【設備の状態を把握しておく】
物件の設備(給湯器・エアコン・水道設備など)の設置年数を把握しておきましょう。
耐用年数(給湯器・エアコンは約10〜15年)を超えている設備は、いつ故障してもおかしくない状態です。
【退去タイミングで計画的に交換する】
故障してから慌てて交換するより、退去のタイミングで計画的に交換する方が、業者選びに余裕ができ、費用を抑えやすくなります。
緊急対応は割高になりがちです。
【修繕積立の意識を持つ】
毎月の家賃収入の一部を「修繕費用」として意識的に積み立てておくことで、突発的な出費に慌てずに対応できます。
家賃収入の5〜10%程度を目安に、修繕費用として確保しておく考え方があります。
【複数の業者に見積もりを取る】
設備交換の際は、1社だけでなく複数の業者から見積もりを取ることで、適正な価格かどうかを確認できます。
費用が高騰している時期だからこそ、比較が重要です。
5. 補助金の活用も選択肢のひとつ
省エネ性能の高い給湯器(エコキュートなど)への交換には、国の補助金制度が活用できる場合があります。
経済産業省の「給湯省エネ2026事業」では、高効率給湯器の導入に対して補助金が支給されます(予算に限りがあるため、最新情報は各省庁の公式サイトでご確認ください)。
費用が高騰している時期だからこそ、補助金を組み合わせることで実質的な負担を抑えることができます。
交換を検討している方は、管理会社や業者に補助金の活用についても相談してみることをお勧めします。
6. 修繕費の「見えないコスト」を意識した経営を
管賃貸経営において、毎月の家賃収入ばかりに目が向きがちですが、設備の修繕・交換費用は「見えにくいコスト」として積み上がります。
こうした費用を意識せずにいると、「思ったより手元に残らなかった」という事態が起きます。
設備の状態を把握し、交換のタイミングを計画的に考え、修繕費を見越した収支計画を立てておくことが、安定した賃貸経営の基盤になります。
「設備の状態を把握したいが、管理会社との連携が不安」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
▶ 前編「設備が壊れたらオーナーはどう動くか・費用負担の基本と初動対応」
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