【後編】家賃を上げたいオーナー様へ~賃料改定を成功させるための進め方~
不動産・相続について勉強中の、ワンダーランドMAIMAIです。
前編では、賃料改定が法律上認められる3つの条件と、継続賃料・新規賃料の違いという重要な前提を整理しました。
今回は、実際に賃料改定を進めるための手順と、現実的な判断のポイントをお伝えします。
【前編】はこちら→https://0120720901.com/contents/2104
1. 賃料改定を進める前に準備すること
賃料改定を借主に打診する前に、次の準備を整えておくことをお勧めします。
【現行家賃と周辺相場の差を数字で確認する】
ポータルサイトで同エリア・同条件の物件の募集賃料を調べ、現行家賃との差を具体的な数字で把握します。
「なんとなく安い気がする」という感覚ではなく、「周辺相場との差は○円」という形で示せることが交渉の出発点になります。
【値上げ幅を現実的に設定する】
前編でお伝えしたとおり、継続賃料は新規募集の相場とは異なります。
相場との差額の全部ではなく一部を求めるという、現実的な幅で提示することが合意を得やすくします。
「月5,000円〜1万円」という小幅な改定から始める方が、借主も受け入れやすい傾向があります。
【契約書の内容を確認する】
自動増額特約の有無・更新時期を確認しておきます。
更新が近いかどうかで進め方が変わります。
2. 借主への伝え方
賃料改定を借主に伝える際は、書面(通知書)で行うことが基本です。口頭だけでは後のトラブルの原因になります。
通知書に記載すべき主な内容は次のとおりです。
◎ 値上げを求める理由(相場との乖離・税負担の増加など具体的な事実)
◎ 改定後の希望賃料
◎ 希望する改定時期
◎ 合意する場合の手続き(覚書への署名など)
◎ ご不明な点があればご相談ください、という一言
通知書のトーンは「一方的な要求」ではなく「お願いと相談」のスタンスが大切です。
丁寧な姿勢で伝えることが、借主との関係を保ちながら交渉を進める上で最も重要なポイントです。
3. やってはいけない伝え方
【「返信なき場合は同意とみなす」という記載】
心理的プレッシャーをかける意図と受け取られやすく、後のトラブルの原因になります。
合意は必ず明示的に得ることが原則です。
【根拠のない値上げ理由】
「建物の価値が向上したため」「より良い住環境のため」といった曖昧な表現だけでは、借主に「理由が弱い」と判断されます。
具体的な相場データを示すことが重要です。
【新規相場と同水準まで上げることを前提にした通知】
継続賃料は新規賃料とは異なります。
相場水準をそのまま目標にした通知は、借主から反発を受けやすくなります。
4. 借主が合意しなかった場合
借主が合意しない場合、法律上は「賃料増額調停」や「賃料増額請求訴訟」という手段があります。
しかし、ここで現実的な話をしなければなりません。
調停・訴訟には弁護士費用・申立費用がかかります。
さらに訴訟で賃料増額を証明するためには、国家資格を持つ不動産鑑定士による鑑定評価書が必要になることが多く、その費用は数十万円規模になることがあります。
解決まで1〜2年以上かかるケースも珍しくありません。
例えば月1万円の値上げを目指した場合、年間の増収は12万円です。
弁護士費用・鑑定費用・裁判費用を合わせると、増収分を取り戻すのに何年かかるか分かりません。
費用倒れになるケースも十分に考えられます。
このため現実には、借主が合意しない場合、多くのオーナー様は「無理に進めず、現行家賃のまま関係を維持する」という判断を選んでいます。
退去が出たタイミングで相場の家賃に戻すことの方が、長い目で見て合理的な場合が多いのです。
5. 更新のタイミングをうまく使う
普通借家契約では、契約更新のタイミングが賃料改定を提案しやすい機会の一つです。
更新の案内を送る際に、「更新にあわせて賃料の見直しをお願いしたい」という形で提案することで、借主も条件を見直す心理的な受け入れがしやすくなります。
ただし、更新時に借主が賃料改定に合意しない場合でも、更新自体を拒絶することは原則としてできません(借地借家法28条)。
更新の手続きと賃料改定の交渉は、できれば分けて丁寧に進めることをお勧めします。
6. 退去が出たときが最大のチャンス
既存入居者との賃料交渉には様々な制約があります。
しかし退去が出たタイミングで、次の入居者を現在の相場水準の家賃で募集することは自由にできます。
継続賃料の制約を受けるのは既存の契約が続いている間だけであり、新規募集では相場通りの家賃を設定できます。
大阪の賃貸市場では更新料なしの普通借家が主流で、入居中の家賃を上げることは文化的にも難しい面があります。
退去が出たタイミングで「現在の相場はいくらか」をきちんと確認し、適正な家賃で次の入居者を迎えることが、長期的な収益を守る最も確実な方法です。
「空室を早く埋めたい」という焦りから相場より安い家賃で募集してしまうと、その家賃が長期間固定されます。
退去のタイミングこそ、慎重に相場を確認して判断することが大切です。
7. まとめ——賃料改定で大切なこと
賃料改定について、大切なことを整理します。
◎ 値上げの請求には借地借家法32条に基づく正当な理由が必要
◎ 継続賃料は新規賃料とは異なり、相場水準まで一気に上げることはできない
◎ 交渉は根拠を示しながら「お願い」のスタンスで丁寧に進める
◎ 合意が得られない場合の法的手続きは費用対効果を慎重に考える
◎ 退去が出たタイミングで相場の家賃に戻すことが最も現実的な方法
物価が上がる中でオーナーの収支が厳しくなっていることは事実です。
賃料改定をお考えの方、または退去が出て次の家賃設定に悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。
不動産経営に関するご相談がある方や、不動産相続でお困りの方、賃貸物件・駐車場をお探しの方も、お気軽にワンダーランドにご相談ください。
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