原状回復のトラブルを防ぐ！賃貸退去時のルールと注意点

賃貸物件を退去する際、「思った以上に高額な修繕費を請求された」「敷金が返ってこなかった」といったトラブルは少なくありません。

オーナーと借主の間で、修繕費の負担をめぐって意見が食い違うこともあり、退去時の対応は慎重に行う必要があります。

また、オーナー側としても、どこまでが通常の使用による劣化なのか、どの費用を借主に請求できるのかを正しく理解しておくことが重要です。

今回は、退去時の原状回復に関するルールや、トラブルを防ぐためのポイントを解説します。

原状回復とは、借主が退去時に「入居時の状態に戻すこと」を指しますが、これは必ずしも「完全に元通りにしなければならない」という意味ではありません。

国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、借主が負担するのは「通常の使用を超えた損耗」に限られ、経年劣化や通常の使用による変化はオーナー側が負担するべきとされています。

借主負担となるケース
壁に大きな穴を開けた
たばこのヤニや臭いが壁紙に染みついた
水漏れによる床の変色（借主の過失によるもの）
ペットによるキズや汚れ

オーナー負担となるケース
家具の設置による床や壁の跡
経年劣化によるクロスの黄ばみ
日焼けによるフローリングの変色
設備の経年劣化による故障

このように、何が借主負担で、何がオーナー負担なのかを事前に明確にしておくことで、トラブルを防ぐことができます。

① 壁紙の張り替え費用

壁紙は、退去時のトラブルで最も多いポイントの一つです。

借主の故意・過失による汚れ（たばこのヤニ、落書きなど）がある場合は借主負担になりますが、日焼けや経年劣化による汚れの場合はオーナー負担となります。

しかし、「一部だけ張り替えができないため、部屋全体の壁紙を張り替える」として、全額請求されるケースもあるため、事前にどの範囲までが借主負担なのかを確認しておくことが重要です。

② フローリングの傷や汚れ

フローリングの傷もトラブルが多い項目です。

通常使用によるすり減りや日焼けはオーナー負担ですが、重い家具を引きずった傷や水をこぼしてできたシミは借主負担となる場合が多いです。

また、ペットを飼っていた場合、爪による傷や臭いが残っていると、補修費用を請求されることがあります。

③ エアコンのクリーニング費用

エアコンの内部清掃費用についても、トラブルになりやすいポイントです。

通常の使用による汚れはオーナー負担ですが、借主が適切に使用・清掃をしておらず、カビやホコリが過剰にたまっている場合は、借主負担となることがあります。

契約時に「エアコンの清掃は借主負担」などの特約がある場合は、退去時に請求される可能性があるため、事前に契約書を確認しておくことが重要です。

退去時には、オーナーまたは管理会社とともに室内を確認する「立ち合い」が行われます。

この際に、修繕が必要な箇所を確認し、どの費用を誰が負担するのかを話し合うことになります。

① 事前に室内を清掃しておく

汚れた状態のままで立ち合いをすると、不要な修繕費用を請求されることがあります。

簡単に掃除をしておくだけでも、印象が大きく変わるため、特にキッチンや水回りはしっかり清掃しておくことをおすすめします。

② 修繕費用の見積もりを確認する

退去時に提示された修繕費用については、すぐに支払うのではなく、明細を確認し、不明点があれば質問することが重要です。

もし、「本当にこの費用が必要なのか」と疑問を感じた場合は、国土交通省のガイドラインを参考にしながら、オーナー側と交渉することも可能です。

③ 退去前に写真を撮っておく

トラブルを防ぐためには、退去前の部屋の状態を写真に残しておくことが有効です。

特に、「入居時と変わらない状態であること」を証明できる写真があると、不当な修繕費請求を防ぐことができます。

オーナーとしても、退去時のトラブルを防ぐために、契約時の説明や事前の対応をしっかり行うことが重要です。

① 契約時に原状回復のルールを明確にする

借主が退去時にどの範囲まで修繕費を負担するのかを、契約時に明確に伝えることで、後々のトラブルを防ぐことができます。

「国土交通省のガイドラインに基づく」と明記しておくと、より安心です。

② 敷金の扱いを明確にする

敷金を退去時の修繕費に充てる場合、どの費用が敷金から差し引かれるのかを事前に説明しておくことが重要です。

これにより、「思ったより敷金が返ってこなかった」というトラブルを避けることができます。

③ 退去時の立ち合いを丁寧に行う

借主と一緒に立ち合いを行い、修繕の必要な箇所を一つずつ確認することで、双方の認識の違いをなくすことができます。

賃貸物件の退去時には、原状回復のルールを正しく理解し、適切な対応を行うことが重要です。

借主とオーナー双方が納得できる退去手続きを行うことで、スムーズな賃貸経営を続けることができます。

今後の退去対応の際に、ぜひ参考にしてください。

不動産経営に関するご相談がある方や、不動産相続でお困りの方、賃貸物件をお探しの方も、お気軽にワンダーランドにご相談ください。

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