高齢入居者に“見守りサービス”は義務づけできる?
不動産・相続について勉強中の、ワンダーランドMAIMAIです。
高齢単身者の賃貸需要が増えるなか、「貸したいけれど、万が一が心配で踏み切れない」という声も多く聞かれるようになりました。
孤独死や長期不在、認知症によるトラブル――。
こうしたリスクは誰にでも起こり得るものであり、物件を所有・運営する立場からすれば、「年齢だけで断らず、どう備えるか」がこれからの賃貸経営の大きなテーマです。
最近では、高齢者の入居に際して「見守りサービスの導入」を条件とする運用方法も注目されています。
1. 入居条件としての“見守りサービス”導入は可能?
賃貸住宅では、ペット可物件に「敷金2ヶ月」や「賃料+3,000円」といった条件が設けられるように、高齢入居者にもリスクに応じた条件を設けること自体は可能です。
たとえば、
●一定年齢(例:75歳以上)以上の入居者には、見守り機器の設置を条件とする
●指定する「見守り付き家賃保証プラン」への加入を必須とする
●機器の導入費やサービス料を賃料に含めて提示する
といった形で、契約時に特約として明記し、重要事項説明書にも記載すれば、実務上問題なく導入できます。
「コンプライアンス上大丈夫か?」という疑問を持たれる方もいるかも知れませんが、
例えば、「外国人不可」とし、「外国人だから」という理由だけで入居を拒否したり、条件を変えることは、人種・国籍等による不合理な差別とみなされる恐れがあります。
しかし、一方で、高齢者入居に際し、
・孤独死リスク
・緊急時対応困難
・原状回復コスト増
・契約解除・連絡不能時の対応難
といった明確で実務的なリスクに備えるために、契約条件として「見守り機器設置」「保証プラン加入」などを求めることは、不当な差別にはあたらないと考えられています。
つまり、年齢そのものを理由に断るのではなく、年齢に伴う特定リスクに対して公平な対応策を講じることが目的であれば、契約の自由の範囲内として認められると考えられます。
2. “見守り付き保証プラン”の利用
現在、見守りや安否確認の機能を組み込んだサービスを提供している家賃保証会社もあります。
具体的には、
▶ Casa「見守りプラン」
家賃保証に加えて、緊急時の安否確認や生活支援サービスが付属。高齢者入居に特化した設計。
▶日本セーフティー「ライフサポート付きプラン」
高齢者や身寄りのない方向けに、見守り・連絡先管理・生活支援をパッケージ化。
こうしたプランを契約時に選択してもらうことで、保証会社が定期的にSMSや電話で連絡を取り、異常時には駆けつけ対応を行う体制が整います。
オーナーとしては、リスクを保証会社に一部委ねられる点でメリットが大きい仕組みです。
3. Wi-Fi不要で使える見守り機器もある
見守り機器というと、「Wi-Fiが必要」「設置が面倒」といったイメージを持たれることもありますが、現在はLTE通信内蔵で工事不要の製品も登場しています。
たとえば、以下のような機器があります。
▶ インターネット不要で使える代表的な製品
・やもりシリーズ(ライフリズム監視型)
電源に挿すだけで使える人感センサー内蔵。動きが検知されない場合に指定先へ自動通知。
・みまもりステーション
電波式ドア開閉センサーや人感センサーで異常を感知。LTE通信対応、月額1,000円前後。
・らいふコール(ボタン押下型)
トイレやベッド横に設置して、体調不良時に自分でボタンを押す。プライバシー重視型。
▶ 費用目安
初期費用:0~20,000円前後
月額費用:800~1,500円程度
(設置方式や通信形態により異なる)
これらはカメラのような常時監視ではなく、異常時だけ通知される仕組みのため、プライバシー面にも一定の配慮がされています。
4. 「見守り」を目的としたサービス
他にも、
▶センサー型見守り機器(人感・ドア開閉センサー)
主な商品例:セコム「まもるっく」、ALSOK「ホームセキュリティBasic」、パナソニック「みまもりホットライン」など
機能:一定時間動きがないと異常として通知/冷蔵庫やトイレの使用が一定時間ないと警告
費用目安:月額2,000円~4,000円程度(初期費用別/見守り対象者の負担も可)
多くの機器は、遠隔で管理画面から状況確認が可能です。
導入の際は、入居者本人の同意と通信環境(Wi-Fiまたは4G)の確保が必要です。
▶郵便局や民間による「定期見守りサービス」
主な例:日本郵便「みまもりサービス」(訪問型・月1回)
内容:地域担当者が月1回訪問、状態を確認し、異常があれば通報
費用目安:月額2,500円程度(見守られる側が契約)
このような民間サービスは、入居者またはその家族が申し込む形になりますが、オーナー側から紹介・提案することで実際に導入される例も増えています。
5. 誰が契約する?費用は誰が持つ?
ここで悩ましいのが、「見守りサービスの契約主体と費用負担」です。
機器によっては、契約者本人が手続きを行わなければならないものもあり、オーナー側で勝手に契約・設置することが難しい場合もあります。
その場合は、契約時に以下のような設計が現実的です。
▶ 費用負担の例
・オーナーが機器を購入・設置し、月額分を賃料に含める(導入済み設備として扱う)
・見守り付き保証プランを指定し、入居者にその料金も含めた家賃設定にする
・一定年齢以上は“管理費+〇〇円”として提示し、個別に徴収
火災保険の加入を義務付けるのと同じように、「高齢者には見守り機器付き住戸とする」「〇歳以上はサービス加入を条件とする」といった設計は、契約書・重要事項説明書に明示すれば合法かつ実務上も通用します。
6. 契約時にできる“備え”を忘れずに
高齢入居者と契約する際には、トラブルを未然に防ぐために、以下の点を書面や口頭で明確にしておくことが推奨されます。
●緊急連絡先をできるだけ2名以上確保する
●長期入院や介護施設に移る可能性があることを想定して、契約解除・鍵返却・残置物処理のルールを明文化する
●孤独死対応の特殊清掃費用や残置物撤去費用について、保証会社や火災保険でカバーされるか確認しておく
近年では、孤独死対応費用が補償される火災保険も増えており、これも管理上のリスク軽減に役立ちます。
7. まとめ
「高齢者だから貸さない」のではなく、「安心して貸せる条件を整える」ことが、これからの賃貸経営には必要です。
その一歩として、見守りサービスや見守り機器の導入は、有効なリスクヘッジとなります。
入居者本人の安心にもつながり、ご家族や関係機関との連携も取りやすくなるというメリットもあります。
オーナーが一人で抱え込むのではなく、保証会社や見守り機器の仕組みをうまく活用しながら、共に支える体制を作ることが、これからの「貸し方」になっていくかもしれません。
不動産経営に関するご相談がある方や、不動産相続でお困りの方、賃貸物件をお探しの方も、お気軽にワンダーランドにご相談ください。
**********************************
今回のブログは不動産賃貸に関する内容でしたが、ワンダーランドでは不動産売買や相続に関するブログも掲載しております。
興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください。
↓↓↓
MAIMAIのブログ(スタッフ紀本のブログ)
kumaさんblog(代表久保田のブログ)
⭐︎☆ 有限会社ワンダーランド☆⭐︎創業:平成2年4月
・HP: https://www.720.co.jp/
https://www.720901.com/
・mail [email protected]
住所:大阪市浪速区敷津西1-1-25
Tel: 0120-720901(なにわくで一番)
Tel: 0120-720981(なにわくは一番)
Fax: 06-6643−3363
Fax: 06-6647-3363
○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●

関連した記事を読む
- 2025/05/23
- 2025/05/20
- 2025/05/19
- 2025/05/17